Blue Room

ロンドンの片隅でじわじわと考えたり、走ったり

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ケンブリッジ・アナリティカ内部告発者インタビュー翻訳

日本のSNSユーザーにも知られるべき内容かと思い、急ぎ日本語字幕をつけてみました。
★下のYouTubeウィンドウ内左下に薄く見える「CC」をクリックして日本語字幕を表示させてください。

とくに07:30あたりからの具体的な手口(!)は想像していたものの、やはり怖いです。

00:02
〜この男性はケンブリッジ・アナリティカの元社員である。〜
00:06
ー この件に自分が関わっていたことについてどう感じていますか?
00:08
— つまり、責任を感じていますか?
00:10
えーと、はい。責任を感じています。。
00:13
後悔もしていますし、
00:18
今日ここでお話しするのも多分そのためです。
00:21
ここで話すことで…多くの人々に
00:24
この会社が何をしているのか、
00:27
この会社が何者なのか、
00:28
これまでいかにたくさん
00:29
反社会的な(反倫理的な)実験をしてきたか。
00:34
– この件もそうなのでしょうか?
00:35
ええ、まぁ、はいそうです。
00:38
倫理にもとる試みでした。
00:41
ある国をまるまる手玉にとって…
00:45
ある国の心理を手玉にとって…
00:47
もちろん同意はとらず気づかれもしない状態で、
00:49
それも一国の精神状態をただ
00:51
もてあそんでみただけではなくて、
00:54
民主主義が行われる過程の国の
00:56
精神状態をもてあそんだわけです。
01:00
わたしはクリストファー・ワイリー、
01:01
データサイエンティストで、ケンブリッジ・アナリティカには立ち上げから関わってきました。
01:06
ケンブリッジ・アナリティカをただの
01:09
データサイエンスとアルゴリズムを扱う01:11
会社を呼ぶのは間違っています。
01:14
この会社はフルサービスのプロパガンダ製造マシンです。
01:17
政敵についての情報を完全にコントロール
01:20
することができれば、
01:23
人々が状況をどう理解するかに影響を与えることができ、
01:26
それについての人々の行動を
01:28
変えることができるのです。
01:29
〜2013年、クリストファーは選挙に影響を与えることを専門としたSCLグループのアレクサンダー・ニックスのところで働き始めた。〜
01:37
アレクサンダー・ニックスについてですか、どこから初めましょうか(笑)
01:40
一緒に働くのは難しい人物です。非常に野心的で
01:49
…私が思うに、彼は自分の会社が何をしているかより
01:53
勝つことに執着を燃やす人です。
01:56
いわゆる上流階級のイートン校出身タイプで、
02:01
人は自分についてきて当然と思っています。
02:03
〜2013年夏、アレクサンダー・ニックスはクリストファーをスティーブ・バノンに紹介した。〜
02:08
最初に彼に会ったとき、アメリカから来たスティーブと紹介されました。
02:12
そして後から、
02:15
ブライトバートの編集長だった人だよと聞かされました。
02:17
ブライトバートについてはなんとなく知っていましたよ、
02:20
白人男性たちが何につけ不満をぶちまけるブログだ、というくらいですが。
02:24
スティーブ・バノンは自分のことをインテリだと思っていましたね。
02:27
なので私達もそれに合わせて
02:30
より学術的な組織であるフリをしました。
02:34
アイディアにフォーカスしたうんちゃらかんちゃら、みたいな。
02:36
アレクサンダーは、あのケンブリッジにオフィスが必要だと気づきました。
02:41
それでケンブリッジにフェイクオフィスを開いたのです。
02:45
バノンが来英するときには、
02:47
ロンドンのオフィスから人を送り込んで
02:50
ケンブリッジのオフィスに座らせて。
02:53
バノンには、まるで
02:58
大学と関係のある仕事をたくさんしているように見せたのです。
03:03
この会社がどういう組織か、
03:06
何をしているかの体裁も変えていきました。
03:08
ケンブリッジ・アナリティカという社名は
03:11
バノンのアイディアだったんです。
03:16
この歪んだイメージが
03:18
ケンブリッジ・アナリティカに染み込んでいきました。
03:20
– つまり、あなたがたはまずスティーブ・バノンを丸め込んだわけですね?
03:23
そう言えますね。彼も私達のターゲット・オーディエンスの1人でしたから。
03:26
– そして彼の現実理解をもコントロールしたわけですね?
03:28
私達が何者であるかについては、
03:31
何屋であるかについては、そして
03:32
彼自身がどんな状況にいるのかについては…そうです。
03:34
– そして、ここから始まって、
03:36
あなたがたはアメリカ合衆国が
03:38
自分たちが置かれている状況への理解を歪めたと?
03:40
はい。
03:41
バノンが私達に興味を持った理由は、
03:42
彼はブライトバート・ドクトリンというのを守っていて、
03:46
それは、もし政治を変えたいならば、
03:49
カルチャーを変えなければいけない、というものです。
03:51
政治はカルチャーに左右されるものだから。
03:55
ではカルチャーを変えたいなら、
03:58
カルチャーを構成しているカルチャーのユニットを把握しなければいけない。
04:02
人々はカルチャーのユニットです。
04:03
つまり、政治を変えたいなら、
04:06
人々を変えることでカルチャーを変える必要がある。
04:09
– バノンは、政治は戦争であるとよく
04:11
言っていますが、それにも関係しますか。
04:16
争いや戦争に出るなら、
04:19
戦争に勝ちたいなら、武器が必要です。
04:22
バノンはカルチャーの武器を探していました。私達はその武器を作ることができたのです。
04:25
もちろんそれには資金が必要です。
04:28
そこでバノンはロバート・マーサーに声をかけました。
04:31
– ロバート・マーサーとは何者ですか?
04:33
ニューヨークにいるアメリカの大金持ちです。
04:36
彼はアルゴリズムで大儲けしました。
04:45
〜クリストファーとアレクサンダー・ニックスはニューヨークに飛び、スティーブ・バノンとヘッジファンドで儲けた億万長者ロバート・マーサーに面会した〜
04:49
バノンと私を横に置いて、アレクサンダー・ニックスは
04:52
ペラペラやり始めました。
04:54
(いかにも上流階級のアクセントを口真似して)「ええ私どもはペンタゴンの仕事も受けていますし、英防衛省、MI6も…」
05:00
ペラペラ… 私達は素晴らしい…イートン校…ペラペラ
05:03
…私は英国の上流階級の男で…ペラペラ
05:05
あなたのお金を安心して投資してもらえますよ」。
05:07
私達が提案したのは、ご存知の通り政治ではツールとして
05:11
すでに存在していたマイクローターゲティングに、
05:14
私はここの専門だったんですが、
05:19
新しい、心理学からの手法を
05:24
掛け合わせることで、
05:26
有権者としてのあなたではなく、
05:28
人格、人間としてのあなたを標的にすることでした。
05:31
このためにひとりひとりについての膨大なデータを
05:35
集めることになりました。
05:38
有権者ひとりひとりについての心理プロフィールを手に入れるためです。
05:44
普通はある地域について、でもこの件では全米をカバーしました。
05:50
〜打ち合わせは成功し、マーサーはケンブリッジ・アナリティカに1500万ドルを投資した〜
05:56
アレクサンダーはとても興奮して、シャンパンをオーダーしていましたね。
06:00
オフィスにサーベル(刀)があったんですが、サーベルでシャンパンを開けていましたよ。
06:04
けれど翌日、
06:07
「で、どうするの?」という雰囲気でした。
06:09
これだけの投資を得たのはいいけれど、
06:10
大金持ちが肩越しに見てるわけですよ、
06:12
「まだか?」
06:13
「何十億も出したんだぞ」
06:15
「心理戦争のための最新兵器を早く見せろ」って。
06:17
データをどう集めるか考えなくてはならなかった。
06:20
そこで学者のところに行って相談しました。
06:23
「どうやったらいいと思う?」って。
06:25
パイロット実験はうまくいっているけれど、
06:27
一国全体についてなんて、どうやればいいんだ?
06:30
〜2014年初め、クリストファーはケンブリッジ大学のアレクサンドル・コーガン博士に会った〜
06:35
コーガンが提案してくれた方法は、すごく低コストで
06:40
早くてクオリティも高いというずば抜けたものでした。
06:44
フェイスブック上の彼らのアプリは、
06:51
そのアプリを使ったりサインアップした人
06:55
だけでなく、その人の友だちネットワーク
06:58
すべての人のデータを刈り取ることが
07:01
できる特別な承認を持っていました。
07:04
ひとりでも、たとえばあなたがアプリを承認してくれれば、
07:08
私はあなたのフェイスブック・プロフィールを見られるだけでなく
07:11
あなたが友だち承認した人すべての
07:13
フェイスブック・プロフィールを見られるのです。
07:15
なので、せいぜい数十万人の人に
07:16
アプリを使ってもらえれば、
07:21
その友だちネットワークに広がるので
07:23
アメリカの大半をカバーできるのです。
07:26
– 人々はそんな風に探られていることに
07:28
まったく気づいていなかった?
07:30
全然。
07:31
あなたの友だちにアプリを使った人がいれば、
07:34
私達はあなたのデータをごっそり抜き取れたわけです。
07:37
フェイスブックプロフィールに載っていたことならほとんど取れました。
07:42
ステータスアップデート(ポスト)、
07:46
イイネ、時にはメッセンジャーの内容も…
07:49
– ケンブリッジ・アナリティカは、人々が
07:51
フェイスブックで送りあったパーソナル・メッセージも読んでいた?
07:54
読んだかどうかは私にはわかりません。
07:56
私が言えるのは、そのアプリにはそれができるということです。
07:58
– そんな中でふと、
08:01
これは人々の個人情報だし、
08:04
自分たちはそれを手に入れて、本人たちが
08:07
知らないまま利用しているぞ、と思わなかったんですか?
08:08
「これっていけないことじゃないか?」と思わなかった?
08:11
うーん、そうですね…この会社は…
08:17
企業倫理みたいなことは良くなかったですね。
08:22
うん…まぁ…
08:24
– じゃああなた自身はどうだったんですか?
08:26
会社はともかく、自分が関わることは気にならなかった?
08:28
うーん、ええ。当時はデータを手に入れて
08:33
この実験を進めることに集中してしまっていたので。
08:36
– 何人くらいのプリフィールを抜き取ったのですか?
08:39
数千万人です。5〜6千万人くらいの
08:42
データを2〜3ヶ月で集めました。
08:46
アレクサンダー・ニックスが国会のフェイクニュースの調査で
08:50
ケンブリッジ・アナリティカは
08:54
フェイスブックのデータを使ったことはないと証言していた時です。
08:57
自分が参画していた時期についてだけ言っても、
08:59
あれは真っ赤な嘘ですね。
09:01
フェイスブックのプロフィールを数千万集めるために
09:04
100万ドル支払っていましたから。
09:08
そうして集めたプロフィールは、ケンブリッジ・アナリティカの
09:13
基礎となったアルゴリズムに使われたわけです。
09:16
そもそもこの会社はフェイスブックのデータを基礎として作られたのです。
09:21
– では、私のデータも私が知らないうちに
09:23
収集されて、それを使って
09:26
私もターゲットになっていたわけですね?
09:30
はい。あなたがどんな情報を信じやすいか…
09:34
どんな文脈を、
09:37
どんな話題、内容、雰囲気を信じやすくて、
09:40
シリアスなのは苦手かとか、そういうことです。
09:42
つまり、どんな情報に騙されやすいか、
09:45
どこにいるときに接触するのか、
09:48
何回その件について思い出してもらうと効果的か、
09:50
こうやって、あなたのあることについての考えを変えていくのです。
09:54
チームには、データサイエンティスト、心理学者、
09:57
統計学者などはもちろん、
09:59
コピーライターやデザイナー、
10:02
ビデオグラファー、カメラマンなどがいました。
10:05
こういうクリエイターたちが創り出したコンテツが
10:08
ターゲットチームの手に渡り、インターネット世界に注入されるわけです。
10:13
ウェブサイトも作られるし、ブログも作られます。
10:16
ターゲットとなる人たちが信じそうな
10:21
ものなら何でも私達が作り、
10:24
彼らがそれを発見してくれるようにします。
10:27
それを見つけてクリックしてもらえれば、
10:28
もうハマってもらえるわけです。
10:30
いろいろあらぬことを考えてもらえる。
10:33
もちろんまた考えを変えることもありますが。
10:37
広場の真ん中で
10:40
自分が考えていることを話し、人々が
10:43
寄って聞いてくれ、自分というもの、自分の
10:45
経験などを共有するのと異なり、
10:48
ひとりひとりの耳元で、囁くように
10:52
それもひとりひとりにもしかすると違うことを
10:54
囁いていく。
10:56
私達は社会の分裂を進めていると思います。
10:59
もう人々は経験を共有できなくなっています。
11:03
そして、同じ理解をすることもできなくなっている。
11:05
社会事象について同じ理解を持てなければ、
11:07
社会を運営していくことなんてできるでしょうか?
11:09
– 今振り返ってみて、
11:11
あなた方のしたことがアメリカを変えた、少なくとも影響はしたと思いますか?
11:17
影響は与えたと思います。
11:20
もちろんハッキリとは言えませんよ、
11:24
何が決定打だったかは。
11:27
何がトランプを当選させ、オルト-ライト勢力を増やしたかとか。
11:30
社会を根本的に変えたければ、
11:34
まずは粉々に打ち砕くことです。
11:35
粉々にすれば、希望の形に練り上げることができます。
11:38
あなたが持っている新しい社会へのビジョンに合うように。
11:43
スティーブ・バノンが望んだのはそんな
11:45
カルチャー戦争をするための武器でした。
11:48
– じゃあこのご時世、誰の言うことなら信用できるのでしょう?
11:53
……うわぁ、すごく難しい質問です。
11:58
誰を信用するか…?
12:04
誰も信じないなんて言いたくないですし…。
12:08
そうですね、これでどうでしょう、
12:10
私は、どんな情報にもある程度の疑いを持って臨みます。
12:15
何を見ても何を聞いても、
12:18
誰と話すにしても、常にこれは本当かな?
12:21
本物かな?と疑うこと。
12:23
これがとても大切な時代だと思います。
12:30
〜ケンブリッジ・アナリティカ社はすべての疑惑を否定している。〜
12:35
〜アレクサンドル・コーガン博士は、自分がしたことはすべて合法で、「フェイスブックと協働しているため」自分のアプリが特別なパーミッションを得ているとしている。〜
12:40
〜フェイスブック社は、データの供与が規約違反であることを否定。さらに広報担当者は「個人情報の保護は当社の信念であり、フェイスブック上でアプリを使う人々もそうであることを求めています。
12:47
…もしこれらのレポートが真実であれば、当社の規約の深刻な違反に当たります。アレクサンドル・コーガンとSCLグループ、ケンブリッジ・アナリティカからは、問題になっているデータは破棄したと証言を得ています」と言っている。

yokoaoki • 2018-03-22


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